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by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート

環太平洋経済連携協定

TPPを知ろう!

STEP1
第1章
TPPって何?


第2章
「TPPで発展!」
の勘違い


第3章
TPPに入ると
どうなる?


第4章
なぜ日本は加盟
したい?


第5章
TPPでは
幸せになれない


第6章
わたしたちに
できること


STEP2
第7章
TPPと遺伝
子組換え


第8章
経団連会長と
TPPの関係


第9章
自由貿易につ
いて考えよう


STEP3
TPPに関する
 Q&A


第3章 TPPに入るとどうなる?

2.TPPで医療はどうなる?

アメリカは日本に対し「病院に利益至上主義を持ちこめ」とはっきり要求してきている。TPPに参加すると同時に国民皆健康保険制度がなくなってしまうというわけじゃないけれど、真っ先に起こりそうなのは「混合診療の全面解禁」だ。

「混合診療」とは何か、まず説明しよう。

健康保険の使える医療の範囲は定められていて、最先端の医療はまだ保険の対象になっていない、という場合がある。この場合、保険の効かない医療と、保険の効く医療を同時併用すること=混合診療をしてはいけない。もし混合診療をすると、保険の効く部分の医療まで、自費で全額負担しなければならない、ということになっている

こういう規則があると、混合診療したら医療費がとても高くなってしまう。じゃあ、混合診療はやめよう、とたいていの人は思う。これによって、保険の効かない医療の利用は抑えられている。

つまり、この「混合診療の禁止」は、最先端の医療を売り込みたい製薬会社などにとっては、まちがいなく「非関税障壁」だ。だから、きっとすぐに解禁を求められるだろう。

混合診療が解禁されると、保険の効く部分には保険を使い、保険の効かない部分は全額負担となる。一見患者の選択の範囲が広がるように見えるね。

でも、これって、よく考えると、歯医者でやってることと同じなんだ。

歯医者では、保険の効く診療と、効かない診療を同時にやっても問題ない。だから、歯医者には、保険の効かないメニューがたくさんある。歯並びをよくするための矯正や、歯を白くするホワイトニングもそうだし、虫歯の後の詰めものも、金とか、セラミックとかいろいろある。「保険は効かないですが、そのほうがきれいですよ。アマルガムじゃなくて、金にしませんか? セラミックにしませんか」とやたら勧められる。かなりしつこくすすめられる場合もあるね。

「保険の効くのでいいです」と言い張ると、ケチな客、と思われてないがしろに扱われる、そんな経験がキミにはないかな?

歯医者さんに言わせると、保険の効く診療だけでは、赤字になってしまい、経営はまったく無理なのだそうだ。だからどうしても保険の効かない診療を患者に勧めることになる。腕のいい歯医者さんになると、保険はやらない、自由診療しかしない、などという人もいる。

そういう事態が歯医者以外の病院でもきっと起こる。

日本の健康保険はただでさえ費用が膨らみすぎて問題になっているから、混合診療が解禁されれば、じゃあ保険の効く範囲を狭くしよう、というふうに話が進むのは目に見えている。

すると、保険の効く医療では最低限のことしかできない、高度な医療を受けたい人はお金はかかりますが、自由診療を受けてください、という話になる。貧乏人と金持ちとで、受けられる医療の格差がどんどん広がっていくだろう

そしてアメリカの医療保険会社は、自由診療のための保険を真っ先に売り込みにやって来るだろうね。

アメリカの医療事情は本当にひどい。公的な保険がなく、民間の医療保険が高いので貧乏な人は保険に入れない。国民全体の15%が無保険だ。

入院患者に支払い能力がないとわかると、路上に捨てていく病院すらある。

ある無保険の大工さんは事故で指を切り落として病院に行くと「薬指をつなげるのには12千ドル。中指をつなげるのには6万ドル。どっちにしますか?」と聞かれたという。そんな法外な額のお金が用意できなければ、つながるはずの指もあきらめざるを得ない。

そして年間44000人もの人が、保険に入っていないがために、医者にかかれずに死んでいく……。
        

これがアメリカのいう「利益至上主義」医療の実態だ。

TPPに加盟したら、日本の医療もその方向へ、じわじわと進んでいくことになる。


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「サルでもわかるTPP(環太平洋経済連携協定)」 
by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート(マクロビオティック料理教室&持続可能な食の学校)