TPPを知ろう!
STEP1
■第1章
TPPって何?
■第2章
「TPPで発展!」
の勘違い
■第3章
TPPに入ると
どうなる?
■第4章
なぜ日本は加盟
したい?
■第5章
TPPでは
幸せになれない
■第6章
わたしたちに
できること
STEP2
■第7章
TPPと遺伝
子組換え
■第8章
経団連会長と
TPPの関係
■第9章
自由貿易につ
いて考えよう
STEP3
■TPPに関する
Q&A
by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート
環太平洋経済連携協定
第9章 自由貿易について考えよう
1.貿易は自由なほうがいい?
「自由」っていう言葉には良いイメージがあるよね。
束縛されるのはイヤ、自由になりたい! みたいな。
しかも、新聞の社説なんかを見ると「貿易自由化は時代の流れ」とか「貿易自由化によってこそ、両国はともに継続的に発展できる」なんてよく書いてある。
でも、本当にそうなのかな?
「自由貿易」を推奨したのはイギリスの経済学者リカード(1772-1823)という人だ。
リカードの「比較優位説」という理屈によると…
ポルトガルでは80人の労働者で1単位のワインをつくっている。
また、90人の労働者で1単位の毛織物をつくっている。
労働者の賃金は価格に反映されるから、労働者の賃金を同じとすれば、毛織物よりも、ワインの方が安くつくれることになる。これを、ポルトガルでは毛織物よりもワインが「比較優位にある」という。
ちなみに、必要な労働者は合計で170人だ。
一方イギリスでは、120人の労働者で1単位のワインをつくっている。
また、100人の労働者で1単位の毛織物をつくっている。
ここでは、ワインよりも毛織物の方が安くつくれることになる。つまり、イギリスではワインよりも毛織物の方が「比較優位にある」ことになる。
このとき必要な労働者は合計で220人だ。
さて、ボルトガルで比較優位にあるワインを2単位つくり、イギリスで比較優位にある毛織物を2単位つくって、交換するとしよう。
このとき必要な労働者数は、ポルトガルでは160人。イギリスでは200人となる。
どちらの国も以前よりも安くモノが買えるようになる、というのがリカードの説だ。
これが、「関税をなくして自由貿易にすれば、どちらの国も繁栄するんだ」という今日の自由貿易論者たちの根拠になっている。
でも、昔と今とでは時代の状況が違っている。モノが不足していて、モノの値段が高かった時代には、「以前よりも安くモノが買えるようになる」というのは確かにメリットだったかもしれない。
だけど、今は、モノが余っていて、そのせいでデフレ(モノの値段が下がっていく)になって困っている状態。これ以上安くモノが手に入るようになっても、景気はますます悪化するだけなんだ。
それに、もう一つ見落とされていることがある。
ポルトガルの労働者が以前は170人必要だったのに、160人しか必要なくなった、同様にイギリスでは220人だったのに、200人になった、ということは、残りの人たちは失業してしまった、ということなんだ。
「サルでもわかるTPP(環太平洋経済連携協定)」
by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート(マクロビオティック料理教室&持続可能な食の学校)