by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート
環太平洋経済連携協定
TPPを知ろう!
STEP1
■第1章
TPPって何?
■第2章
「TPPで発展!」
の勘違い
■第3章
TPPに入ると
どうなる?
■第4章
なぜ日本は加盟
したい?
■第5章
TPPでは
幸せになれない
■第6章
わたしたちに
できること
STEP2
■第7章
TPPと遺伝
子組換え
■第8章
経団連会長と
TPPの関係
■第9章
自由貿易につ
いて考えよう
STEP3
■TPPに関する
Q&A
第7章 TPPと遺伝子組換え
4.食料による世界支配
一方、インドでは大勢の農家が自殺している。モンサント社の遺伝子組換えワタのせいだ。
遺伝子組換えワタのタネは在来のワタのタネの何倍もする。農民は高価なタネを買うために、借金をせざるを得ない。収穫できたワタを売ってやっと借金を返すという生活だ。ところが「楽に高い収穫量が得られる」という触れ込みに反して、思い通りの収穫が得られなかったり、とんでもない不作になることすらある。そして借金が返せず、自殺する農民が急増しているんだ。
なぜ農民は高価な遺伝子組換えワタのタネをわざわざ買うのか。それはモンサント社が地元の種苗会社を買収してしまったために、在来のワタのタネが手に入らなくなってしまったからだ。そうやってモンサント社は否応なく農家を囲い込んでいく。
シュマイザーさんは裁判ではモンサント社の鼻をあかしてやったけれども、結局ナタネの栽培はあきらめてしまった。なぜなら、在来のナタネを栽培しようとしても、どうしてもモンサント社の遺伝子と交雑してしまうからだ。不屈の闘志を持つシュマイザーさんでさえ、認めざるを得なかった。在来のナタネはカナダからもう永久に失われてしまった、とね。
遺伝子組換え表示がなくなれば、遺伝子組換え作物の栽培はすぐに広まるだろう。そしてわたしたちは非遺伝子組換えの食品を選ぶ自由が奪われ、農家は自分のつくりたい品種を選んで栽培する自由を奪われる。
「食料主権」が、わたしたちの手から奪われてしまうんだ。
モンサント社の究極の狙いは、タネを握って、食料を支配すること。それによって世界を支配することだ。電気がなくても人間はすぐに死ぬわけじゃないけれど、食料がなければ生きていけないからね。
もしキミが、こんなふうにエゴと搾取で成り立つ資本主義社会にうんざりし、きっぱりと決別して、山の中で自給自足の生活に入ったとしよう。畑を耕して、自然の中で心豊かに生活していたとしよう。でもある日そこにモンサント社がやって来て「あなたは我が社の著作権を侵害しています。特許使用料を払ってもらわないと」……
そんな悪夢のようなの未来はイヤだと思ったら、今TPPに反対するしかない。
遺伝子組換えと原発は似ている。
いったん原発事故が起こると飛散した放射性物質は回収しようがない。
遺伝子組換え作物の花粉も、飛び散ってしまってからでは遅いんだ。
「サルでもわかるTPP(環太平洋経済連携協定)」
by 安田美絵 @ ルナ・オーガニック・インスティテュート(マクロビオティック料理教室&持続可能な食の学校)